月別アーカイブ: 2015年10月

MODOで髪の毛 – ファー編 その2 – モデリング

さて、前回の続きで、Gregさんメソッドでのヘアモデリングをご紹介します。
動画ではMODO801と書かれていますが、701以降なら、可能な方法のはずです(701で実験済)。
細かく説明するので、たくさん手順が有るように見えますが、
慣れると、全工程(5-1まで)、5分以内で出来ます。

■0:準備

  ひとつだけ準備が有ります。
  途中で、エッジをカーブに変換するスクリプトを使います。
  既にお持ちの方も多いと思いますが、以下をダウンロードしておくのが望ましいです。

 ・Forumにもある、senecaさんのスクリプト
 もしくは、
 ・こちらのスクリプト

 スクリプトが無くても代替手段が有りますが、持っておくのがお奨めです。

■1:髪の房のベースとなるメッシュの作成

 今回は、前回紹介した動画の後半部分をベースに、この顔に前髪を一房作ってみたいと思います。
 一房できれば、あとは流用・応用です。

ベース

ベース

(1-1)
 まず、髪の毛用に新しいメッシュを作ります。名前は”Bangs”とします。
 リトポロジー機能(「トポ」タブ)で、ポリゴンを張っていきます。
短冊を作ったときと同じですね。

トポロジーペンで面張り

トポロジーペンで面張り


 ※リトポロジーって何?という方はこちら

 ここで、あまりハイポリだと制御しにくくなるので、最低限にします。
 今回は4×1の縦長ポリゴンにします。

(1-2)
 次に、「モデル」タブに移り、「厚み」ツールで、立体にします。
 ここでの厚さは、前髪の厚さの目安になります。

(1-3)
 髪の毛の根本となるポリゴンを選択し、
 カット(Ctrl+X)、すぐにペースト(Ctrl+V)します。これにより、ポリゴンが他と切り離されます。
 そして、反転(Fキー)します。

  結果的に、下図のような構成になります。
制御メッシュの構成

  (a)は髪の毛が生えるポリゴン、(b)は髪の房の形をコントロールするケージです。
  以後、(a)(b)とします。

  ※(a)は内側を向いてるので、選択しにくくなります。
   選択するときは(b)を隠す(Hキー)か、選択セットを使っても良いと思います。

■2:ガイドメッシュのマテリアルの設定

 (2-1)
  続いて、(a)(b)それぞれにマテリアルを割り付けます。
  名前は

    (a) … ”hairGrow”
    (b) … ”hide”(レンダリングされない、隠しポリゴンなので。)

  とします。
マテリアル追加

 (2-2)
  ここでは、先に(b)のマテリアルを設定します((a)は後で詳しく設定します)。
  レンダリングされないようにします。
  シェーダーツリーの「レイヤー追加」> 「処理」> 「シェーダー」を追加します。
  hideマテリアル全体を、”Base Shader”(グローバルシェーダ)より
  上に持っていくのを忘れないようにしましょう。

(b)のマテリアル構成

(b)のマテリアル構成

   シェーダーの設定は以下の通り。シェーディング・可視属性をすべて外します。

(b)のシェーダー設定

(b)のシェーダー設定

   また、ビューポート表示で半透明になるように、
   マテリアルの透過量を高め(今回は90%)にしておきます。
  

(b)の透過量

(b)の透過量

  こんな感じになるはずです。

■3:ヘアをコントロールするカーブの作成

 (3-1)
  続いて、エッジ選択モードで、(b)のメッシュの以下のエッジを4本選択します。

 (3-2)
  この状態で、「0.準備」で用意したスクリプト(今回はedgeToCurve.pl)を実行します。
  (スクリプトの実行は、Shift+F5、もしくは「システム」メニューの「スクリプトの実行」から。)
  下図のようにカーブが出来るはずです。
edgeToCurve.pl実行後

 ※スクリプトが入手できない場合は、こちら

 (3-3)
  めでたしめでたし、と言いたい所ですが、このカーブは「方向」が非常に重要です。
  カーブの根本(○が付いてる方)が髪の毛の根本に来るようにします。
  逆になっていたら、反転(Fキー)で、方向を揃えます。

カーブの方向

カーブの方向

  カーブが上図の右のような方向になったら、メッシュ部分は完成。
  ためしに、ポリゴンを一つ、引っ張ってみましょう。

  カーブがポリゴンについてきますね!これが今回のポイントになります。

■4:ファーマテリアルの設定

 髪の毛のマテリアルを設定します。
 (4-1)
  (2-1)で作った(a)hairGrowに、ファーマテリアルを追加します。
  シェーダーツリーの「レイヤー追加」> 「特殊」> 「Fur Material」です。

ファーマテリアル追加

ファーマテリアル追加

 (4-2)
  各種設定を以下のようにします。簡単のため、要点だけ列挙します。
  ご自分の作品に合わせて、調整してみてください。
 
  【ファーマテリアル】
   ・長めの毛なので、「最大セグメント数」を増やす。今回は64。
   ・「基本サーフェイスの除去」をON。これで(a)はレンダリングされなくなります。

ファーマテリアル

ファーマテリアル

  【ファーガイド】
   ・「基本サーフェイスからガイドを使用」はOFF。
   ・「アイテム」はガイドとなるメッシュ(Bangs)を選択
   ・「ガイド」は「範囲」
   ・「ガイド範囲」をメッシュの実寸に合わせて調節
   ・「ブレンド量」を高めにする(ガイドが重なり合った部分を馴らす)。今回は80%

ファーガイド

ファーガイド

  【ファーキンク】
   ・「ジッター」はすべて抑え目にする。今回は5%
   ・「ベンド振幅」は0%

ファーキンク

ファーキンク

 (4-3)
  レンダリング(プレビュー)してみます。こんな感じになるはず。
  ガイドメッシュに非常に近い形になります。

  ヘアマテリアルを割り当てるとこんな感じ。

お試しレンダリング

お試しレンダリング

■5:スタイリング

  さて、ここからが真骨頂です。

 (5-1)
  (b)のメッシュを、スカルプトツールや、エレメント移動など、
   ポリゴンモデリングツールで編集してみます。
   (※カーブは直接編集しないように)
   今回は、簡単にベンドツールで変形してみました。すると…

スタイリング例

スタイリング例

  この再現度です。初めて見たとき、目からウロコでした。
  正直、ヘアスタイリングツール(櫛ツールなど)よりも
  遥かにコントロールしやすいです(901時点)。

 (5-2)
  この繰り返しで作ってみた、習作第1号がこちら。

ヘア習作第1号

ヘア習作第1号


  (P4の雪子をイメージしたつもり…)
  次回はもっと凝ったのが出来そうな感触を得ました。 

基本的な手順は以上です。


今回は説明のためにワンセット作ってみましたが、
マテリアルグループを作って、ひとつの(a)に対して複数の(b)を適用するなど、
応用は様々です。

ちなみに、ヘアマテリアルについては、また非常に奥深いので、
需要が有れば、別の機会にご紹介したいと思います。
ではまた!

■補足:スクリプトが無い場合

 以下の手順でカーブを作れます。
 頂点モードで根元から順に頂点を選択し、Shift+O(オー)を実行します。
  (poly.makeCurveOpenコマンドが実行されます)

頂点からカーブ作成

頂点からカーブ作成


 これを必要な数だけ繰り返します。
 手作業だと面倒なので、やはりスクリプトがお奨めです。

MODOで髪の毛 – ファー編 その1 – イントロダクション

あれよあれよ、お久しぶりになってしまいました。
すっかり涼しくなってきましたね。


以前、MODOでの髪の毛表現に関する記事を書きましたが、
需要が有りそうですので、今回も髪の毛について書きます。

以前書いた、短冊形ポリゴンにテクスチャを張り付けるのは、
古来より伝わる先人の知恵で、ローポリ用の簡易的表現と言えます。

映像系など、リアリティにこだわる場合、やはりファーを使いこなしたいところです。
今回は、ファーについて書きたいと思います。

MODO ファー 実験(雪子)

MODO ファー 実験(雪子)

さて、MODOのファー機能で、長い髪の毛を思い通りに作るのは、
現時点では、かなり難しいと思います。
(MODO801で、ヘア機能が強化されましたが、それでもロングヘアは難しい)

ガイドの制御が難しい上に、レンダリング時間がかかるので、
トライ&エラーも中々厳しいです。

そんな中、The Foundryのインサイダーと思われるGreg Brownさんが、
革命的とも言えるヘアスタイリングの方法を紹介されています(英語)。

■フォーラムの記事はこちら。
Hair Sculpting workflow video/chat

■ビデオはこちら。

動画の11:00ごろからに注目。
この方法の凄いところは、通常のモデリングツールで
ヘアをコントロール出来るところです!

Gregさんメソッド

Gregさんメソッド

上図のように、髪束を覆うメッシュと、ヘアを制御するカーブが、
頂点を共有しているのがポイントです。
メッシュを編集すると、ヘアが追従するというわけです。マジックだ。

冒頭の雪子(モドキ)は、この方法で作りました。
自分も初めてなので、あんまり複雑な髪型はまだ出来ないのですが、
基本的にどんな髪型でも出来そうです。

以上!やってみてください!
…と言いたいところですが、

上記はすべて英語なので、次回、日本語で具体的手順を記事を残しておきますね。
今回はイントロダクションまでに。

日本語で紹介してよ!という方は、次回更新をお待ちください。

ではまた。